ハンバーグはクレイジー?
毎日のごはんはわたしが作っているのだが、みんな大好きハンバーグを作ったことがない。
それは、ある夏の日のことである。
彼の家の近くにある定食屋に行ったときのこと。
そこではとんかつや唐揚げ、ミックスフライなど、いろんな定食が食べられる。
イギリス人のダーリンは「唐揚げ定食にする!」と息巻いていた。
わたしはヒレカツ定食にしようかな、と思っていたら、次のページに洋食メニューなるものを発見。
ここへは何度か来ているけれど洋食メニューは盲点だった。
いつも早々にヒレカツか唐揚げかにするため、次のページまで手が回っていなかった。なんという食いしん坊。
ずらりと並ぶ洋食メニューには、ハンバーグ、生姜焼き(これって洋食なの?というツッコミはさておき)、オムライスなどなどが書かれている。
「わたしハンバーグにしようかな〜」
「出たよ、日本人。ハンバーグ!?
クレイジーだね!!!」
多大なる心外である。
「なんでよ!ハンバーグだよ、ハンバーグ。
おいしいおいしいハンバーグだよ!」
「そうだよ、知ってるよ、牛肉のミンチのハンバーグでしょ?
クレイジーだよ!」
まったく意味がわからないけれど、なんだかすごく怒っている、というかわたしを気持ち悪い人みたいな目で見ている。
外国人がみんな大好きなハンバーガー、もれなく彼も大好きである。
某チェーン店のハンバーガーは食べないけれど、ハンバーグからちゃんと作っているハンバーガー屋さんのハンバーガーは好んで食べている。
ほら、あんたいつも食べてるじゃないか。
「ハンバーガー好きじゃん。同じでしょ?」
「ハンバーガーはおいしいよ。
でも君はハンバーグをどうやって食べるの?
ブレッド(パン)ないでしょ?」
「いやいや、ごはんがあるじゃん!」
「は!?ごはん!?クレイジーーーー!!!!」
つまり彼の言い分を簡潔にまとめると、
- ハンバーグはハンバーガーとして食べるもの
- ハンバーグはパンといっしょに食べるもの
- ハンバーグとごはんっていうのがありえない
- お箸でハンバーグを食べるのも変
- 味噌汁といっしょについてくるのも変
ということらしい。
つまり、いつもパンや野菜と一緒に食べているパテ(ハンバーグ)が、ご飯のおかずになっているのが奇妙奇天烈に映るようだ。
となりでものすごい嫌な顔をするのでその日はおとなしくヒレカツに落ち着いた。
それ以来、食卓にハンバーグは出さないようにしようと心に誓ったのであった。