ホワイトデーの朝のこと
ダー様はわたしを驚かせるのが上手である。
今までびっくりしたことと言えば色々あるが、最もびっくりしたことは
結婚に必要な婚姻要件確約書を取得するために大使館に行く予約を内緒にしていたこと。
結婚しようという話にはなっていたのだが、実際いつするのかというのはまだ話せていなかった頃。
わたしには内緒で、せっせとイギリスから出生届を取り寄せたり、大使館に行く予約を取り付けていたりしていた夫。
当時一緒に住んでいたけれど全く気づかなかったのでひっくり返ったのだが、ホワイトライだからね!などと言って笑っていたので、いろんな感情がごちゃまぜに。
そりゃそうだけど!よかったけど!!
その頃のわたしは婚姻届を出すまで油断はできぬ!と思っていたのでさらにふんどしを締め直したのであった。
さて、昨日の朝のことである。
出勤前の夫に、使ってないクリアファイル持ってない?と尋ねたら、あーあっちにあるよ、ちょっと待って、とゴソゴソやっている。
そしたらA4サイズが入る封筒を出してきて、ここにはこれしかなかったけど、車の中にはあるからちょっと待ってて!
と言って戻ってきた時にはチョコレートを手に持っていた。
なんじゃこりゃ?
「ホワイトデー」
なんと!
わたし主導だった会話から自分のサプライズへと持っていくあたりが上級者!
そして自然!上手すぎる!
そしてわたしは毎日ぼんやり生きているので今日がホワイトデーであることもすっかり忘れていた。
そしてついでという感じで封筒も手渡された。
なんじゃ?と思ったら、クリアファイルが入っている。そうそう、わたしが欲しかったクリアファイル、車にあったのね…でもなんで封筒に入れるの?
と思っていたら、クリアファイルの中にお手紙が入っているではないのー!!
すごすぎる!
わたしが聞いたクリアファイル持ってない?という偶然の質問を逆手に取り、本当にクリアファイルを入れ、さらに本当のサプライズである手紙を渡すあたり…
すごいテクニックやな!!(羨望のまなざし)
ちなみにダー様から手紙をもらうのは2度目である。
手紙はうれしい。本当にうれしい。
何度読み返しても涙が出る。
話す言葉よりも、視覚で入ってくる言葉の方がグッとくるときがあるのだ。
もちろん、面と向かって話すことが大切な時もあるけれど、手紙は格別なものがある。
ダーリンが出勤したあと、ひとりでニヤニヤして、鼻水を垂らしながら読んだ。
ダーリンはもうわたしの夫であるが、再びふんどしを締め直した妻であった。