つれづれ手帖

アラフォー。純ジャパ。国際結婚。

衝撃的なプロポーズに立ち会った話

f:id:kumahat:20191031113512p:plain

 

いつだったか忘れたが、何年か前に友人たちと一緒にフレンチディナーに行った。
そのお店はとても小さな、こぢんまりとしたレストランで、テーブルが4つとあとはカウンターというレイアウト。
高級感たっぷりというよりは、ビストロ的な要素もあって庶民的なお店だがでも地元では知る人ぞ知るな名店で、なかなか予約が取れないことで有名だった。
運よく予約が取れたわたしたちは、女4人でその店を訪れ、美味な料理に舌鼓を打っていた。

宴もたけなわ、デザートを楽しんでいたときのことである。
隣のテーブルに座ったカップルの男性が、ウェイターの男の子から大きな花束を受け取り、彼女に手渡し、結婚してください!と言ってのけた。
狭い店内に、彼の緊張した声が響き渡り、わたしたちをはじめ、他のお客さんも一気にそのテーブルに注目せざるを得なくなってしまった。

テーブルとテーブルの距離も決して広いとは言えない店内。
見て見ぬ振りをする、という方が難しい状況である。
彼女の顔はとにかくギョッとしていたことをわたしは忘れない。

 

彼女はなんとも言えない表情で花束を受け取り、引きつった笑顔(に見えた)で微笑んでいた。
彼女が花束を受け取ると、彼はさらに指輪が入っていると思しき小さなリングケースを出し、パカっと開いて見せた。
彼女が小さくうなづいてまたそれを受け取ると、そばにいたウェイターたちが拍手をし始めた。
わたしたちもそれにつられて拍手。
彼女はとても恥ずかしそうにみんなに会釈をしていた。

この劇的瞬間に、不可抗力で立ち会うことになってしまったわたしたち。
なぜか私たちが気をつかい、秒速でデザートを平らげてレストランを後にし、その足で周りの声が気にならない人で溢れるスターバックスへ駆け込んだのであった。

 

息をするのも忘れてレストランから逃げ、駆け込んだスターバックス
レストランで甘いものとコーヒーを飲んでいたにも関わらず、さらにコーヒーをオーダー。
とにかく席について、あの嘘みたいなシチュエーションについて喋りたかった。

 

その女子会メンバーは全員同い年。当時でいうとギリギリアラサーの域。
一人は既婚、もう一人は結婚間近、わたしを含む二人は彼氏持ち、という状況であった。

既婚者A子が鼻を膨らませて吠えた。

 

いやマジでありえへん!ないわ!女の子かわいそう!

 

わたしも結婚間近B子も同意見であった。
あんな逃げ場のない状況であんなこと言われたら、本来嬉しいはずの言葉もただの羞恥である。

「テレビか映画の見過ぎやねん。なんで他人巻き込むねん!」

B子は言った。
男性の方が意外とロマンチックなところがある。
理想の何かを追い求め、漫画みたいなことをしたがるのは男性の方が多いような気がする。
女子は、結構ドライな人が多い。
男性が思っている「これしたらみんな喜ぶでしょ」っていう知識が大きく間違っている場合があるので注意が必要だ。


わたしたち3人が吠えまくっていたとき、彼氏持ちC子が「待って!わたしめっちゃキュンとしたんやけど!!!」と言った。

 

うそやろ!!?!?

あの状況が!?あの地獄絵図が!?

 

「だってさ、めっちゃ嬉しいやん。あんな緊張してさ。準備もしててんで、絶対」


そう言うC子は彼からあんな風なプロポーズをされたいらしい。
みんなの前でされることにも抵抗がなく、むしろ嬉しいのだと言う。
あんたええ子やな!!とわたしたち3人は言った。
なので世の男性、たまにこういう女性もいるので、みんながみんなこのサプライズプロポーズに否定的というわけではない。



わたしは絶対嫌やけど!

 

 

プロポーズを控えている世の男性の皆様。
大切なことは、彼女の好みや性格をきちんと理解した上でプロポーズすること。
一世一代のプロポーズだからこそ、自身のやりたいことを貫くのではなく、彼女が喜ぶやり方を貫かねばならぬ。

 

あの時の彼女がどういう決断をしたのか、数年遡って問いたい。

 

ところで己の時はどうだったのか。
わたしの時は、なんか出かけた帰り道の車の中で、結婚しようかーって日本語で言われたのが多分プロポーズ…かな?という感じです。
わはは。

 

 

お題「プロポーズ」